「ビーチサッカーができなくなる未来?」北澤豪さんが伝える、海ごみとスポーツの深いつながり

2025年5月24日、幕張で「PLOGGING MAKUHARI 2025」のキックオフイベントが開催されました。

今回は、元サッカー日本代表でJFA技術委員会シニアアドバイザーの北澤豪さんが初めてプロギングに参加。

ごみ拾いとジョギングを掛け合わせたこの活動を通じて、海洋ごみとスポーツの関係性、そして私たち一人ひとりの行動の大切さを強く伝えてくださいました。


「見えないごみ」が、スポーツの未来を奪うかもしれない

「砂浜って見えないじゃん。けどね、スライドしたら、プラスチックがあったりしてスパッと切れたりする。安全だと思ってるわけじゃん。けどそこにごみが隠れたりする。」

「だからこういった活動をしていかないと、ビーチサッカーがやれなくなって、ビーチバレーがやれなくなってしまうこともあるし、みんなが海水浴ができなくなる可能性もあったりする。特に日本はこういった活動をやっていかなければいけないんじゃないかなと思う。」



北澤さんが語るように、海辺のスポーツは“砂がきれいであること”が前提です。

しかし、一見美しく見える浜辺にも、ごみがまぎれていることがあります。

その中には、ガラス片やプラスチックなど、ケガにつながる危険なものも含まれているのです。

そして、その多くが「街」から出たごみ。

風や雨に流され、川を通じて海へと辿り着き、やがてスポーツやレジャーの場を脅かす存在になります。




プロギングは、スポーツから生まれた環境アクション

「プロギング(plogging)」という言葉は、スウェーデンの総合アスリートが考案した環境アクションに由来しています。

“plocka upp(拾う)”と“jogging(走る)”を組み合わせた造語で、

ジョギングをしながらごみを拾うという、身体にも自然にもやさしい活動として世界に広まりました。


スポーツに関わる人が発案したからこそ、この活動には、

「身体を動かすことの心地よさ」と「自然を大切に思う気持ち」が自然と重なっています。


今回のイベントでも、北澤豪さんが自ら足を運び、ごみを拾いながら参加者に声をかけてくれたことが、スポーツと環境の関係を、より身近に感じさせる機会となりました。

プロギングは、ただのごみ拾いではありません。


スポーツマンシップが、自然へのやさしさへとつながっていく姿を感じられる行動です。

だからこそ、スポーツを愛する人たちがこの活動に関わる意味は、とても大きいのです。



プロギングとスポーツの新たな関係

この日のイベントでは、プロギング後にビーチサッカー体験も実施。

北澤さんのオーバーヘッドシュートには、子どもたちから大きな歓声が上がりました。

ビーチサッカー選手たちは普段から自主的にビーチクリーンを行っており、競技と環境保全が一体であることを体現しています。

幕張の浜辺も、彼らの活動によって守られてきた場所。

スポーツは環境に依存している――それを、参加者自身が“体感”した一日となりました。



子どもが拾う“大人のごみ”

「人が見えないようにごみを捨てている人たちが多い。あれはちょっと悪質かな。

大人が捨てているごみを子どもたちが拾っているっていう現実はどうなのかなというふうには思いましたね。

やっぱりどこかでみんながごみの捨て方とか気をつけたりしないといけないし、

こういった活動が増えてくると、みなさんの心が変わってくるんじゃないかなというふうに思います。」


この日、参加した多くの子どもたちは、明るい笑顔で街を走り、ごみを拾っていました。

けれど、子どもたちが拾っていたのは、過去に大人が出してきたものも。

その光景に向き合ったとき、私たち大人に問われているのは、

「子どもたちに、これからの社会をどう手渡していくのか」という問いです。

子どもたちには、この体験を通じて、自然や環境にやさしい未来を考えられる人に育っていってほしいと願っています。



“つくる責任” “つかう責任”

大人たちも、かつては子どもでした。

そしてきっとその頃、落ちているごみを見て、心を痛めていたはずです。

子どもだけの力で社会の流れを大きく変えることは難しい。

だからこそ、今、大人になった私たちが動けるのなら、未来はきっと変えられる。

プロギングは、子どもたちがこれから生きる未来を、少しでも心地よく、やさしいものにしていくためのひとつのアクション。

そして大人たちにとっても、「どうありたいか」「どんな社会を残したいか」を見つめ直す、静かなきっかけになっているのかもしれません。



小さなアクションが、未来を変える

この日、参加者が集めたごみの総量は29kgにものぼりました。

目立ったのは、タバコの吸い殻や菓子パンの袋、スプレー缶、そしてプラスチック片など。

「きれいに見える街にも、見えないごみがある」。

その事実に多くの人が気づいたはずです。


MCを務めた泉水はる佳さんも、次のように語りました。

「海がきれいだからこそ、安全に遊んだりスポーツを楽しんだりすることができる。

海と私たちは、影響し合っているのだと感じました。」


プロギングは、「街でごみを止める」ための最前線。

そしてそれは、スポーツを守るための活動でもあります。


海の国・日本だからこそ、未来のためにできることがあります。


あなたの一歩が、誰かの未来を守る

スポーツと海を守るために。

子どもたちの笑顔を守るために。

あなたの一歩が、街を変え、海を変え、未来を変えます。